
- 2022年 8月 1日
- 令和3年度財務書類の公開
学校法人会計の特徴と用語解説
■学校法人会計基準の改正について
平成27年度より学校法人会計基準が改正され、従来の資金収支計算書・消費支出計算書・貸借対照表から資金収支計算書(一部変更)・事業活動収支計算書・貸借対照表(一部変更)へと変更されました。
資金収支計算書については、基本的な考え方に大きな変更はなく、勘定科目の名称、計上箇所等の変更がされました。また「活動区分資金収支計算書」が新たに設けられ、資金収支計算書の決算額を「教育活動による資金収支」・「施設設備等活動による資金収支」・「その他の活動による資金収支」の3つの活動区分ごとに区分し、資金の流れを明らかにするものとなりました。
消費収支計算書は、事業活動収支計算書へと名称が変更し、臨時・事業外の収支を踏まえ、収支を「教育活動収支」・「教育活動外収支」の経常的なものと「特別収支」の臨時的なものに区分経理を導入し、それぞれの収支状況を把握できるようになりました。
貸借対照表は、その他の固定資産に含まれていた各種引当特定預金を「特定資産」として分離しました。また、基本金の部と消費収支差額の部を合わせて「純資産の部」と変更し、保有する資産の調達源泉を明確になりました。
■学校法人会計の特徴や企業会計との違い
学校法人の事業は、基本的に非営利事業です。そのため、一定の制限のもとに認められる収益事業を除き、企業会計における損益計算は適用されません。
収益事業を営む一般企業は「企業会計原則」に基づき、事業の成果を損益計算書や貸借対照表、キャッシュフロー計算書で表しますが、学校法人は非営利組織であり教育研究活動を円滑に行うことを目的としているため、「学校法人会計基準」に基づき資金収支計算書・事業活動収支計算書・貸借対照表で経営活動を明確にしています。また、「学校法人会計基準」では企業会計には存在しない「事業活動収支」や「基本金」といった考え方を採用しています。この考え方は、教育研究活動を継続的かつ安定的に行うため設けられたものです。
■計算書について
1.資金収支計算書
資金収支計算書は、当該年度における教育研究活動等に対応する、すべての資金の収入・支出の内容を明らかにして、支払資金の収入・支出のてん末を明らかにするものです。
2.事業活動収支計算書
事業活動収支計算書は、当該年度における事業活動収入と事業活動支出の内容と基本金組入後の均衡の状態を明らかにして、学校法人の経営状況が健全であるかどうかを示しています。
3.貸借対照表
貸借対照表は、当該年度末における資産および負債、純資産を明示して、学校法人の財政状況を明らかにするものです。
■計算書の項目について
1.事業活動収入
学生納付金・手数料・寄付金・補助金などの当該年度の学校法人の負債とならない収入をいいます。借入金や前受金などの負債性のある資金は除かれます。
2.事業活動支出
事業活動支出は、人件費・教育研究経費・管理経費・借入金利息などの当該年度に発生した費用です。資金支出のほかに、減価償却額や引当金繰入額を加味します。
3.基本金組入前当年度収支差額
従来の帰属収支差額にあたり、毎年度の事業活動全体の収支差額(バランス)を表します。
4.基本金組入額
学校法人が教育研究活動を継続するためには、校地・校舎・機器備品・図書・現預金などの資産を永続的に維持する必要があります。学校会計では、当該年度にこれらの資産の取得に充てた金額を基本金へ組入れる仕組みとなっています。
令和3年度決算